梅雨の季節、湿度が高くてジメジメ・・・
そんな季節に、あえてどん底までどっぷり落ちていくのも一興!
今回は、極限状態に追い詰められた時に暴かれる、
人間の「醜い本性」を描いた小説をご紹介します。
※注意※
絶望な状況を楽しめる程度の元気がある人におすすめします。
- とことん、どん底の気分に落ちたい
- 人間の「隠された」本性を知りたい
- 絶望を楽しめるくらいの余裕がある
【絶望レベル★☆☆】「死んだ木村を上演」(金子玲介)
あらすじ
大学の演劇研究会で同期だった庭田、咲本、羽鳥、井波の元に届いた脅迫状。
『誰が木村を殺したのか、八年前の真実を知りたければ、
2024年1月9日14時、雛月温泉の宿・極楽へ来い』
そこで始まる当時の再現劇。
4人が抱える秘密が少しずつ暴かれていく・・・。
ゾクゾクポイント
始めは演劇人らしく、当時の自分になりきった演技をする4人。
ストーリーは会話を中心に繰り広げられる。
事件の本質に迫る展開になるにつれ、会話が息つく間もなくスピードアップ!
犯人だと疑われ、追い詰められた人が、
普段なら言えないような暴言を惜しげもなく放つ。
人間の心の奥の醜さを目の当たりにして、心臓がえぐられる・・・!
でも、気になってやめられない。
ジェットコースターに乗りながら、どんどん地下に突き進んでいく気分を味わえる一冊。
【絶望レベル★★☆】「爆弾」(呉勝浩)
あらすじ
些細な傷害事件で、とぼけた見た目の中年男が野方署に連行された。
男は、「スズキタゴサク」と名乗る。
たかが酔っ払いと見くびる警察だが、
スズキは取調べの最中「十時に秋葉原で爆発がある」と予言する。
直後、秋葉原の廃ビルが爆発。まさか、この男“本物”か。
さらにスズキはあっけらかんと告げる。
「ここから三度、次は一時間後に爆発します」。
警察は爆発を止めることができるのか。
爆弾魔の悪意に戦慄する、ノンストップ・ミステリー。
ゾクゾクポイント
スズキタゴサクの、妙に冷静で論理的な話術に、舌を巻く。
言ってることは狂気的なのに、なぜか納得させられてしまいそうになる。
スズキと相対する警察官たちも、翻弄される。
正義の代名詞である警察も、結局はひとりの人間に過ぎない。
それぞれの気持ちの裏側を垣間見られる場面では、
人間の抱える闇の恐ろしさを見せつけられた。
それでも揺らがない正義を信じて、祈りながら読み進めていくゾクゾク感は、
他の作品では味わえない。
読者もスズキに試されている、この臨場感がたまらない!
◆法定占拠 爆弾2 (呉勝浩)
スズキタゴサクが帰ってきた!
スズキの裁判の最中、遺族席から拳銃を持った青年が立ち上がり、
法定を制圧した。
「みなさんには、これからしばらくぼくのゲームに付き合ってもらいます」
生配信で全国民が見守るなか、警察は法定に囚われた100人を救い出せるのか。
籠城犯 vs 警察 vs スズキタゴサクの三つ巴の騙し合いが始まる。
【絶望レベル★★★】「方舟」(夕木春央)
あらすじ
大学時代の友人と、山奥の地下建築を訪れた柊一。
偶然出会った三人家族とともに、地下建築の中で一晩過ごすことに。
しかし、翌日の明け方、地震が発生し、扉が岩でふさがれた。
さらに地盤に異変が起き、水が流入しはじめた。
いずれ地下建築は水没する。
そんな矢先に殺人が起こる。
だれか一人を犠牲にすれば脱出できるという状況。
その生贄にふさわしいのは、殺人事件の犯人だ・・・
タイムリミットまでおよそ1週間。
極限状態での犯人捜しが始まった。
ゾクゾクポイント
死へのタイムリミットが近づいていく中で、
誰か一人を犠牲にしないと助からない。
しかも、殺人犯がまたいつ誰かを仕留めに動くかもわからない。
見知らぬ家族もいるけれど、最悪の場合、友人を疑わなければならないという極限状態。
こんな状態になって、冷静に善良な人間でい続けることができる人って
いるんだろうか。
殺人犯はもちろん怖いけれど、他の人たちの言動にもぞっとする。
人間の浅ましさをまざまざと見せつけられて、気分はどん底・・・
これでもかというほどに、人間の恐ろしさ・醜さを突きつけてくる一冊。
◆十戒(夕木春央)
殺人犯を見つけてはならない。
それが、わたしたちに課された戒律だった。
島で起こった殺人事件。その現場には、十の戒律が書かれた紙が落ちていた。
”この島にいる間、殺人犯が誰か知ろうとしてはならない。
守られなかった場合、島内の爆弾の起爆装置が作動し、全員の命が失われる。”
犯人が下す神罰を恐れながら、「十戒」に従う3日間が始まる。
まとめ
今回は絶望レベル順に、嫌~な気分になれる小説をご紹介しました。
人間の愚かさが暴かれる瞬間って、どうしてこんなに恐ろしいのに、
目が離せないんでしょうか。
私がどうしても読みたくなってしまうのは、
自分が目にしている「整ったように見える世界」の裏側を覗いてみたい、
という気持ちが強いです。
きれいに見えるだけの世界は、どうも信じがたい。
きっとこの裏には、どろどろしたとんでもないものが潜んでいるに違いない。
そんな予感を「ほら、やっぱりね!」と納得したいのかもしれません。
もちろん、本当に優しい世界もあります。きれいな世界に救われる瞬間もあります。
でも、「裏があることも知っている」ことが、
「生きている」という実感につながるのかも。
劇薬を摂取した後は、お口直しをどうぞ。
「思わず笑ってしまうエッセイ」で、削られたHPを回復しましょう!
お口直しにおすすめの本はこちら