(2025/4/18 チェックリスト更新:「珈琲怪談」追加)
恩田陸さんのシリーズ作品14作品をご紹介!
恩田さん、あまりに多作なので、2つの記事に分けて書きます。
今回は第一弾。
シリーズ別の内容紹介・おすすめポイント・読む順番を書いていきます。
一番最後に、全作品の一覧チェックリストもありますので、
ぜひご活用ください!
恩田陸さんについて
1964年生まれ。
1992年、『六番目の小夜子』で小説家としてデビュー。
ホラー、SF、青春小説、ファンタジー、ミステリーなど、幅広い作風を持つ。
『夜のピクニック』で吉川英治文学新人賞(2004年)、本屋大賞受賞(2005年)を始め、
数々の受賞歴がある。
相当な読書家でもある。
【シリーズ別】著作一覧
(作品のかっこは、最初の単行本または文庫本の出版年です)
「高校三部作」
- 学園ホラーな雰囲気が好きな方
- 青春小説を読みたい方
- 恩田陸さんのデビュー作を読みたい方
内容紹介
高校を舞台にした3つの長編。
とある地方の高校にやってきた、美しく謎めいた転校生・津村沙世子。
高校には十数年間にわたり、奇妙なゲームが受け継がれていた。
三年に一度、サヨコと呼ばれる生徒が、見えざる手によって選ばれるのだ。
そして今年は、「六番目のサヨコ」が誕生する年だった。
◆球形の季節
四つの高校が居並ぶ、東北のある町で奇妙な噂が広がった。
「地歴研」のメンバーは、その出所を追跡調査する。
やがて噂どおり、一人の女生徒が姿を消した。
高校生活最後を飾るイベント「歩行祭」。
それは全校生徒が夜を徹して80キロ歩き通すという、北高の伝統行事だった。
甲田貴子は密かな誓いを胸に抱いて、歩行祭にのぞんだ。
三年間、誰にも言えなかった秘密を清算するために。
おすすめポイント
三部作と題しながらも、登場人物や舞台設定も全く違う物語なので、
どれから読んでもOKです!
恩田作品のルーツを知りたい方は、デビュー作の『六番目の小夜子』がおすすめ。
『六番目の小夜子』と『球形の季節』は学園ホラーな雰囲気が漂うお話。
ホラーが苦手な方は、『夜のピクニック』がおすすめです!
また、短編集『図書室の海』には、
『六番目の小夜子』の番外編(表題作)や、
『夜のピクニック』の前日譚(「ピクニックの準備」)が収録されています。
刊行順
1.六番目の小夜子(1992)
2.球形の季節(1994)
3.夜のピクニック(2004)
おまけ.図書室の海(2002)
「理瀬」シリーズ
- じっとりした雰囲気のお話が読みたい方
- 幻想的なミステリを読みたい方
- 学園ミステリが好きな方
内容紹介
理瀬という少女が、様々な不思議な出来事に遭遇する、幻想的な物語シリーズ。
◆麦の海に沈む果実
「三月以外にやってくる転入生は、学園を破滅に導く」
そんな噂がある全寮制学園に、二月に転入してきた理瀬。
謎の失踪をとげる生徒たち。生徒を集めてお茶会を開く校長。
図書館にあったはずの謎の本。
理瀬を待ち受ける運命とは…?
◆黄昏の百合の骨
「自分が死んでも、水野理瀬が半年以上ここに住まない限り家は処分してはならない」
亡き祖母の奇妙な遺言に従い、「魔女の館」と噂される洋館に、
理瀬はやってきた…。
◆薔薇のなかの蛇
英国へ留学中のリセ・ミズノは、友人のアリスから「ブラックローズハウス」と呼ばれる
薔薇をかたどった館のパーティに招かれる。
そこには国家の経済や政治に大きな影響力を持つ貴族・レミントン一家が住んでいた。
折しもその近くで、首と胴体が切断された遺体が見つかる。
そしてこの屋敷の中でも、やがて事件が起こる。
おすすめポイント
なんといっても、現実か幻か、境目があいまいになる不思議な読み心地が
魅力です!
読む順番としては、最初は1.『麦の海に沈む果実』をぜひ読んでいただきたい。
理瀬のその後を読みたい方は、2~3がおすすめです。
『麦の海に沈む果実』に登場するキャラクターのスピンオフを楽しみたい方は、
番外編の4~6がおすすめ!
理瀬シリーズの世界をもっと楽しみたい方は、おまけの短編集もぜひ!
『図書室の海』には、理瀬の幼少時代を描いた「睡蓮」、
『朝日のようにさわやかに』には、ヨハンが主人公の「水晶の夜、翡翠の朝」が収録されています。
読む順番
1.麦の海に沈む果実(2000)
2.黄昏の百合の骨(2004)
3.薔薇のなかの蛇(2021)
4.三月は深き紅の淵を(1997)
5.黒と茶の幻想(2001)
6.夜明けの花園(2024)
おまけ.図書室の海(2002)
おまけ.朝日のようにさわやかに(2007)
「常野物語」シリーズ
- 「特別な力」を持つ人の話が好きな方
- 現実的なファンタジーが読みたい方
- ずしんと重い読み心地を感じたい方
内容紹介
◆光の帝国
膨大な書物を暗記するちから、遠くの出来事を知るちから、近い将来を見通すちから。
「常野」から来たといわれる彼らには、みなそれぞれ不思議な能力があった。
穏やかで知的で、権力への志向を持たず、ふつうの人々の中に埋もれてひっそりと暮らす人々。
不思議な優しさと淡い哀しみに満ちた、常野一族をめぐる連作短編集。
◆蒲公英草紙
青い田園が広がる東北の農村の旧家槙村家を訪れた常野一族。
槙村家の末娘聡子様とお話相手の峰子の周りには、平和で優しさにあふれた空気が満ちていた。
しかし、やがて時代と共に何かが少しずつ変わっていく。切なく感動する長編小説。
◆エンドゲーム
『あれ』と呼んでいる謎の存在と闘い続けてきた拝島時子。
常野一族の中でも最強の能力を持っていた父は、遠い昔に失踪した。
そして今、母が倒れた。
ひとり残された時子は、絶縁していた一族と接触する。
おすすめポイント
日本が舞台の本シリーズ。
風景が身近であるが故に、設定はファンタジーながらも、やけに現実味のあるお話です。
常野一族が持つ不思議な力にも注目。
「裏返す」「しまう」「洗う」など、ぱっと見ただけではよく分からない力も。
どんなふうに使うんだろう?と気になりますよね。
特別な力を持つが故に、思わぬ事態に巻き込まれてしまう人々の悲哀の物語です。
刊行順
1.光の帝国(1997)
2.蒲公英草紙(2005)
3.エンドゲーム(2006)
全作品一覧チェックリスト
全作品制覇を目指している方は、こちらもどうぞ。(ダウンロードしてご利用ください)
まとめ
初期のころはファンタジーやホラーな雰囲気の作品が多めな印象の恩田さん。
夢か現か…じっとりと不穏な雰囲気に飲まれそうになりますが、
それがまた恩田作品の魅力なのです!
物語の世界にどっぷり浸るにはうってつけのシリーズ作品。
お好みのシリーズが見つかったら、ぜひ、全制覇めざしてください!