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【小説】『キッチン常夜灯』(長月天音)~「やりたい仕事ができない」と嘆くあなたへ~

自分のやりたい仕事を、信頼できる仲間と一緒にやる。

仕事をする人にとっては究極の理想ですよね。

でも、自分の理想通りに働くことって、けっこうむずかしい。

「やりたい仕事ができない」「協力してくれる人がいない」

そんなモヤモヤを抱えている人におすすめしたいのが、「キッチン常夜灯」シリーズ。

美味しい料理といっしょに、一息つける場所をご提供します。

こんな人におすすめ
  • 仕事に一生懸命な方
  • 自分ひとりで空回っているなぁと感じている方
  • 明日からの活力を得たい方

あらすじ

「ファミリーグリル・シリウス」というカジュアルな洋食チェーン店を経営する、

中小企業の株式会社オオイヌ。

近年の時流に乗って「女性活躍推進」を謳い、女性店長を増やそうとする本社の方針によって、

なりたくもない店長になってしまった南雲みもざ。

睡眠時間を削って業務にあたっている最中、住んでいるマンションが火事になってしまう。

そんなどん底のみもざを暖かく迎えてくれたのは、ビストロ「キッチン常夜灯」だった。

おすすめポイント

美味しい料理と接客に癒される

心身ともに限界のみもざを迎え入れてくれる「キッチン常夜灯」は、

シェフの城崎(きのさき)さんと、ソムリエの堤さんの二人で営業しています。

この二人の接客が素晴らしいこと!

いつでも笑顔で迎え入れてくれる安心感と、さりげない気遣い、

そして何より、「お客さんのために」と愛情をこめて作られた料理。

文章を読むだけで、「キッチン常夜灯」のファンになってしまうほど、

魅力のあふれるお店なのです。

仕事をするうえで大切なことを教えてくれる

やりたくもない店長という仕事を無理やり押し付けられたと感じているみもざ。

でもやらなきゃいけないことは、どんどん降ってくるし、

嫌々ながらでもやらざるを得ない。

おまけに一緒に働いている同僚は、あんまりやる気が感じられず、

惰性的に働いている彼の様子にイライラ。

 

けれど、「キッチン常夜灯」で提供される料理やサービスから、

仕事とどう向き合うか、自分の仕事の意義を改めて見つめなおすきっかけをもらいます。

それは、飲食店の業種にとどまらず、すべての仕事に通じること。

「キッチン常夜灯」からもらえるのは、料理と接客サービスだけでなく、

明日への活力も。

「よし、もう少しがんばろう!」と思えるひと時が過ごせます。

モヤモヤから離れることも大事

「キッチン常夜灯」に通うことで、彼女たちの環境が劇的に変わるわけではありません。

けれど、仕事から離れる時間をちゃんと確保することで、

今まで見えていなかったことが、見えるようになってきます。

 

たとえば、相手の気持ちを一方的に推測して、勝手にイライラしていたり。

あるいは自分の考えが正しいと思い込んでいたり。

だけど、実はそうではなかった、ということに気づく。

そしてその気づきによって、彼女たちの人生が少しだけ良い方向に動いていきます。

 

「現実はそんな簡単にうまくはいかないよ」と思う人もいるかもしれませんが、

今まで気づけなかったことに気づけることって、世界が変わるくらい大きな一歩だと思うんです。

 

今のモヤモヤの発生源から思い切って離れる時間を過ごしてみる。

そうしたら、見える世界が広がって、新しい世界を発見できるかもしれません。

シリーズを追う楽しみ

「キッチン常夜灯」はシリーズ化しています。(2025年4月時点で、全3巻)

いずれも、仕事がうまくいかない女性が主人公です。

2巻目は、みもざの同期であるつぐみ、

3巻目は、つぐみの後輩であるかなめが主人公。

シリーズを追いかけていると、それぞれの主人公たちのその後の姿を見ることができるのが、楽しみのひとつ。

たとえば、3巻目では、みもざとつぐみが、かなめの憧れの先輩として登場します。

まだまだ続きそうな本シリーズ。

これから彼女たちがどんな風に関わっていくのか、楽しみです。

 

まとめ

仕事を一生懸命やっているのに、なんだかうまくいかない。

やりたくもない仕事をやらされていて、徒労感がハンパない。

そんなモヤモヤを感じている人に、ぜひおすすめしたいシリーズ。

みなさんも、「キッチン常夜灯」で明日への活力をチャージしてみませんか♪