軽快な文章で、現代の風潮を鮮やかに描き出す朝井リョウさん。
読みやすさの中にも、ぐさっと刺さる作品や考えさせられる作品があり、
読者を物語の中に惹きこむ力がある作家さんです。
今回は特に私がおすすめしたい8作品を紹介します!
一番最後に、全作品の一覧チェックリストもありますので、
ぜひご活用ください!
- 朝井リョウさんについて
- 桐島、部活やめるってよ(2010)
- 星やどりの声 (2011)
- 世界地図の下書き (2013)
- 発注いただきました! (2020)
- 正欲 (2021)
- ゆとりエッセイシリーズ
- 全作品一覧チェックリスト
- まとめ
朝井リョウさんについて
1989年生まれ。
2009年、早稲田大学在学中に『桐島、部活やめるってよ』で小説家デビュー。
2013年、『何者』で直木三十五賞受賞。
直木賞史上初の平成生まれの受賞者として、注目を集めた。
現代の若者の姿を鮮やかに描く青春小説や、現代の風潮に疑問を投げかける重厚な話、
そして笑いを追求したエッセイなど、幅広い作風を持つ。
おすすめ作品8選
(作品のかっこは、最初の単行本の出版年です)
まずはデビュー作のこれ!
桐島、部活やめるってよ(2010)
あらすじ
高校バレー部のキャプテン・桐島が、突然部活をやめた。
そこから、周囲の高校生たちの学校生活にも小さな変化が起こっていく。
17歳の青春を描く連作短編集。
おすすめポイント
この本に登場する高校生たちは、クラス内でのグループや、部活も様々。
特にクラスの中では、大きく分けて、目立つグループと地味なグループの2つができがちですが、
それぞれのグループにいる生徒たちの悩みが、それぞれの視点で描かれています。
かつて高校生だった人たちも、いま現役で高校生の人たちも、
自分と異なる立場の人たちがどんな風に考えているのかを、この本を通して垣間見ることができるのではないでしょうか。
朝井さんのデビュー作なので、「朝井リョウの原点」を辿りたい人は、
まずはこの本から読むことをおすすめします!
「家族っていいな」と思わせる感動小説
星やどりの声 (2011)
あらすじ
亡くなった父が残したのは、星形の天窓がある喫茶店『星やどり』。
遺された6人の子どもたちの視点で描かれる家族の物語。
おすすめポイント
1章ごとに、6人の子どもたちが一人ずつ主人公となって、物語が進んでいきます。
紡がれていく物語の先には、喫茶店『星やどり』に隠された父の想いが
次第に明らかになっていきます。
兄弟のいる人は、自分の立場に近い人(長男・長女、真ん中、末っ子)の気持ちに共感できることがあるのでは。
子どもたち一人ひとりが思い出す父の姿、家族への想いに、胸を打たれます。
私のイチオシ!孤独に寄り添う優しい物語
世界地図の下書き (2013)
あらすじ
児童養護施設「青葉おひさまの家」で過ごす子どもたちの成長を描く長編小説。
両親を事故で亡くした小学生の太輔は、「青葉おひさまの家」で暮らし始める。
初めは心を閉ざしていた太輔だが、同じ施設の子どもたちと過ごすうちに、
次第に心を許していく。
おすすめポイント
「青葉おひさまの家」での子どもたちとの関わりあいが、とても素敵であたたかい。
それぞれのさみしさや悲しみに、時に寄り添い、時に見守りながら、
ちょうどよい距離感の関係を作っていく子どもたち。
この物語の中心にあるのは、「逃げてもいいよ」というメッセージ。
読み終える頃には、この本のタイトルに込められた意味に胸が熱くなります。
朝井さんの作風の幅広さが凝縮された一冊
発注いただきました! (2020)
内容紹介
朝井さんの作家デビュー10周年を記念して発行。
森永製菓、アサヒビール、資生堂、JA共済など、様々な企業から受けた原稿依頼。
原稿枚数や登場人物、作品のテーマなど、様々な要望に応えて書いてきた作品を
一冊にまとめた本。
おすすめポイント
どんな要望にも応えられる、朝井さんの才能が存分に堪能できる一冊です!
作家さんが色々なお題や制約を与えられて、どんな風に物語を紡いでいくのかを
知ることができる貴重な本。
それぞれの作品に対して、朝井さん自身の感想が添えられており、
そのコメントもまた面白くておすすめです。
読む前の自分には戻れない
正欲 (2021)
あらすじ
不登校の息子を持つ検事、初恋をする女子大生、ある秘密を抱えるショッピングモールの店員。
ある人物の事故死をきっかけに、3人の人生が重なり合う。
「多様性を尊重する時代」に切り込む長編小説。
おすすめポイント
おすすめポイントを書くのがとても難しい…
間違いなく言えることは、この本を読んだ人たちの多くが、
「読む前の自分には戻れない」という感想を抱いているということ。
あなたも、衝撃の体験を、ぜひ!
これは外せない!爆笑エッセイ
ゆとりエッセイシリーズ
内容紹介
爆笑必須!!
大学生時代、就活中の日々、社会人生活・・・
朝井さんの日常と非日常が、ゆるっと綴られるエッセイシリーズ。
おすすめポイント
とにかく頭を空っぽにして楽しめるエッセイです。
何も考えたくないときにおすすめ!
でも、外で読むのは危険なので、ご注意を。
笑いをこらえきれず、不審な人になってしまう危険性があります。
刊行順
1.学生時代にやらなくてもいい20のこと(2012)(文庫版改題:時をかけるゆとり)
2.風と共にゆとりぬ(2017)
3.そして誰もゆとらなくなった(2022)
全作品一覧チェックリスト
全作品制覇を目指している方は、こちらもどうぞ。(ダウンロードしてご利用ください)
まとめ
朝井リョウの世界はどこまで広がっているんだろう・・・と思ってしまうくらい、
いろんな作風を繰り出してくる朝井さん。
軽快なものから重厚なものまで、なんでもござれ。
ぜひ、あなたのお好みの作品を探してみてください!